審査結果
3月12日16時発表
3月14日発表
3月18日発表
3月23日すべての選抜者を発表
審査所感
絵画部

101回展という新しい門出を迎えた白日会ですが、絵画部ではコロナ禍も終え今年も多くの一般応募を受け、230名247点の出品中、183名183点の入選となり、応募者中の80%が入選しました。近年入選倍率が下がっていますが、応募作品の全体を観ますと、白日会カラーという意識が応募する方々にあるようにも思え、その上に出品作の平均的な水準も高く、そのことが入選率の高さに反映しているようにも感じました。
最近はニューリアリズムという概念があるようで、画像やバーチャルな世界を実感とみなし、このような世界を精密丹念に描く方が多くなりました。しかし、「写実」の定義はもっと幅広くまた深浅の差もあります。昨年逝去されました中山忠彦会長は「古典的骨格」を大事にして欲しいと後進に呼び掛けておりました。
白日賞を受賞した2作品は現代の流行を超えた絵画性を感じさせました。佳作賞は例年より多く輩出され、また惜しくも受賞とならなかった作品には、キャプションに「賞候補」と記載されますので、来場の際はご注目ください。
全体的な感じとして平均点は高いのですが、突出して目を見張る作品に乏しく、推挙は例年より少なくなりました。なお、特別賞と法人寄託賞の審査は3月18日となります。
令和7年3月12日 絵画部 常任委員会
彫刻

吉田三郎賞の野添さん「Next Lesson」は、自然な伸びやかさから女性の瑞々しさを感じる優作である。長年の研鑽によって培われた技量の高さを感じる。準会員奨励賞の佐々木さん「風に吹かれて・・・」は、壁にかけることによる浮遊感や、彫刻としての実在感を感じる作品として高く評価した。
今回は、従来の彫刻の枠組みからすると、挑戦的な応募作品が見られた。表現としてのメッセージ性や塊ごとの構成について、作家が自問自答を重ねることで、これらの作品の魅力がより出ていくものと思われる。白日会として今後に期待する。
作家が作品と向き合うこと、対象と向き合うことの重要性を改めて感じる審査であった。
彫刻部審査主任 山本 眞輔
賞・授与理由
内閣総理大臣賞
作者名 中谷 晃 (白日会会員・常任委員)
題名 「瑞光の庭園」
中谷さんの作品は、色彩鮮麗で、鮮やかに過ぎると感じ、敬遠していたのが、正直な処だ。だが歳月経つと見方が変ってくる。昨今は、白日会一般の色調より離れている観でも、こういうのもバランス上、在ってもいい。いや、むしろなくてはならないと考えるようになった。よって、今回内閣総理大臣賞に推した。技術については、高度なこと、早くから認めている。これからの発展が楽しみである。期待している。
瀧 悌三(美術評論家)
文部科学大臣賞
作者名 原 太一 (白日会会員)
題名 「アート・セッション」
良く知られた日本の伝統絵画を、大胆に換骨奪胎し、自由でダイナミックな表現を生んでいる。構成力もあり、見応えがある。
土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長・武蔵野美術大学客員教授)
SOMPO美術館
作者名 小野 彩華 (白日会準会員)
題名 「昼下がりの画室」
「昼下がりの画室」と題されたこの作品には、何らかのアレゴリー(寓意)が秘められているような感を受ける。二人の女性の関わり方に注目すると、しぐさ、表情、佇まい、服の色の対比も含め、何か意味ありげであり、右下のぬいぐるみさえも何か不思議な感を与える。写実技法を駆使しながら、独特なムードを画面全体に漂わせつつ象徴の領域にまで踏み込もうとした秀作として本賞に推した。
絵画部 常任委員会